オフィス回帰とは?
必要な理由や最新の動向、メリット・デメリットを徹底解説

オフィス回帰とは?
必要な理由や最新の動向、
メリット・デメリットを徹底解説

新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、リモートワークが急速に普及しました。しかし、GAFAをはじめとする大手企業が続々と「オフィス回帰」を表明し、日本でも多くの企業がオフィス勤務の重要性を再認識しはじめています。

「オフィス回帰」とは、単にコロナ禍以前の働き方に戻ることを意味するものではありません。

本記事では、オフィス回帰の現状やメリット・デメリット、企業が検討すべき課題などを詳しく解説します。オフィス回帰に関する理解を深めて、ニューノーマル時代の働き方を実現しましょう。

 

オフィス回帰とは?

「オフィス回帰」とは、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のために導入されたテレワークやリモートワークなどの働き方から、オフィス勤務中心の働き方に戻すことをさします。

パンデミックによって多くの企業が急速にテレワークを導入しましたが、その一方で、コミュニケーション不足や孤独感、企業文化の希薄化などの課題も浮き彫りになりました。

発生した課題の解決と、従業員同士の連携強化やイノベーション促進、組織文化の醸成などを目指して、多くの企業がオフィス回帰を検討しはじめています。

オフィス回帰は、単に以前の働き方に戻ることを意味するものではありません。オフィス勤務とリモートワークのメリットを組みあわせた、より柔軟で生産性の高い働き方を実現する手段として注目されている勤務形態です。

 

オフィス回帰の実態

国土交通省の「令和5年度テレワーク人口実態調査」によると、テレワーク実施率は24.8%と、前年から減少傾向にあります。コロナ禍で急速に普及したテレワークですが、オフィス回帰の動きも徐々に進んでいるようです。

とはいえ、完全にテレワークが廃止されているわけではありません。7割以上の人が週1日以上の出社を希望しており、週1~4日のテレワークを組みあわせたハイブリッドワークが増加傾向にあります。

また、世代間の意識差も確認されており、若い世代ほど柔軟な働き方を求める傾向があります。出社を指示された場合でも、テレワーク可能な働き方を求めて交渉したり、転職を検討したりする人が多いようです。

地域別に見ると、首都圏のテレワーク実施率が最も高く、38.1%と高い数値を記録していますが、地方圏でも20%を超えています。業種別では、情報通信業や学術研究、専門技術サービス業で高い一方、医療・福祉や宿泊業・飲食業では低い傾向が見られます。

政府は、2025年までに制度等に基づく雇用型テレワーカーの割合を25.0%とする目標を掲げていますが、現状は21.3%と目標達成には至っていません。

出典:国土交通省「令和5年度テレワーク人口実態調査」

 

オフィス回帰後の出社パターン

オフィス回帰に移行した後の出社パターンは、「完全出社」と「ハイブリッドワーク」の2種類に分けられます。

完全出社とは、従業員全員が毎日オフィスに出勤する従来型の勤務形態です。対して、ハイブリッドワークは、オフィス勤務とリモートワークを組みあわせた新しい勤務形態をさします。

ハイブリッドワークの導入方法は、企業によって様々です。例えば、デジタルツールを活用した業務が中心の部門は在宅勤務を主とし、紙の資料や対面でのコミュニケーションが不可欠な部門は出社させるなど、部門ごとに働き方を設定するケースがあります。

また、週の特定の曜日を出社日と定めたり、最低出社日数を設定したりする企業も存在します。チームでのミーティングや対面でのコミュニケーションが必要な日はオフィスで働き、集中して資料作成に取り組みたい日は自宅で仕事をするといった使い分けも可能です。

近年では多くの企業がハイブリッドワークを導入し、新しい働き方として定着しつつあります。従業員一人ひとりのライフスタイルや、業務特性にあわせた柔軟な働き方を実現できることから、今後さらに普及が進むと考えられています。


オフィス回帰のメリット

対面でのコミュニケーションがもたらす価値は、企業と従業員の双方にとって大きな意味を持ちます。以下では、オフィス環境を活用して得られる具体的なメリットをご紹介します。

 

企業側のメリット

オフィス回帰による企業側のメリットは、以下のとおりです。

 ●  コミュニケーションの活性化
 ●  組織の一体化
 ●  人材育成の促進

従業員同士が顔をあわせる機会が増えれば、コミュニケーションが活性化します。会話から生まれるアイデアや信頼関係は、オンラインではなかなか得難いものです。活発な意見交換や情報共有によって、業務効率が向上し組織全体の活性化につながることも期待できるでしょう。

また、組織の一体化もオフィス回帰で得られる重要な効果です。社員同士が顔をあわせて働くことで、企業理念やビジョンを共有し、共通の目標に向かってさらに前へと進んでいけます。

さらに、オフィスでは、上司や先輩社員が部下・後輩を直接指導する機会が増えるため、OJTによる人材育成が促進されます。
 

従業員側のメリット

オフィス回帰による従業員側のメリットは、以下のとおりです。

 ●  集中力・生産性の向上
 ●  オンオフの切り替えがしやすい
 ●  コミュニケーション機会の増加

家事や家族の声など、気が散る要素が少ないオフィスでは、仕事への集中力が増し、生産性の維持につながります。必要な時にすぐに同僚に相談できる環境も、業務効率の向上に貢献します。

また、オフィスに出勤すればスムーズにオンオフの切り替えが可能です。さらに、同僚と顔をあわせて会話する機会が増えるため、コミュニケーション不足によるストレスの軽減も期待できます。

同僚と気軽に相談したり、雑談をしたりすることで、今よりも良好な人間関係を築けるでしょう。

 

オフィス回帰のデメリット

オフィス回帰には様々なメリットがありますが、一方でいくつかの課題も浮き彫りになっています。企業と従業員の双方が直面する課題について、詳しく見ていきましょう。

 

企業側のデメリット

企業側のデメリットとして、以下の点が挙げられます。

 ●  オフィス賃料などによるコスト増加
 ●  オフィス環境整備の必要性
 ●  働き方の柔軟性の低下

オフィスを維持するには、賃料、光熱費、設備投資など、様々なコストが発生します。フルリモートワークからオフィス回帰するのであれば、コスト面の負担増加は避けられないでしょう。

また、オフィス環境の整備も、企業にとって負担となる可能性があります。快適なオフィス環境を維持するためには、定期的な清掃やメンテナンス、設備の更新などが必要です。

さらに、オフィス回帰は、働き方の柔軟性を低下させる可能性も孕んでいます。リモートワーク目的など、場所や時間に縛られない働き方を求める人にとって、オフィス回帰は必ずしも魅力的に映るとは限りません。そのため、条件によっては人材を確保しにくくなる可能性もあります。

 

従業員側のデメリット

労働者側のデメリットは、以下の点が挙げられます。

 ●  通勤時間の負担
 ●  ワークライフバランスの阻害
 ●  オフィス環境による集中力維持の難しさ

オフィス勤務に切り替えるとなると、通勤時間の負担は避けられません。満員電車でのストレスや、通勤時間のロスは、従業員のモチベーションや生産性に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、オフィス勤務中心の働き方は、ワークライフバランスを維持する上で阻害にもなります。仕事とプライベートの時間調整が難しくなり、ストレス増加につながる可能性も考えられるでしょう。

さらに、オフィス環境では周囲の会話やプリンターの音など、様々な外的要因が集中力に影響を及ぼすことがあります。

しかし、働く場所と生産性の関係は個人差が大きく、オフィスの適度な緊張感が集中力を高める人もいれば、自宅の静かな環境でより効率的に業務をこなせる人もいるため、一概には言えません。

 

オフィス回帰時に企業が検討すべき課題

オフィス回帰時に
企業が検討すべき課題

オフィス回帰する際、企業は以下の課題に直面する可能性があります。

 ●  従業員間の公正性担保
 ●  従業員のモチベーション・メンタルヘルスマネジメント
 ●  オフィス環境の整備

それぞれ詳しく解説します。

 

従業員間の公正性担保

オフィス勤務とリモートワークの公平性を保つことは、従業員が働きがいを感じ、最大限のパフォーマンスを発揮するために不可欠です。勤務形態による待遇差が生じないよう、評価制度や報酬制度を見直し、公平性を担保しましょう。

また、コミュニケーション不足や孤独感を感じやすいリモートワークの従業員にも配慮し、従業員同士の交流の機会を設けるなど、積極的なサポートが必要です。

 

従業員のモチベーション・メンタルヘルスマネジメント

オフィス回帰は、従業員のモチベーションやメンタルヘルスに影響を与える可能性があります。リモートワークを希望していた従業員の場合、オフィス回帰によってモチベーションが低下したり、ストレスを感じやすくなったりするケースも考えられます。

企業にとって、従業員のモチベーション維持とメンタルヘルスケアへの取り組みは欠かせません。オフィス回帰の目的やメリットを丁寧に説明し、フレックスタイム制などの導入も検討して、従業員の不安やストレスを軽減できるよう努めましょう。

 

オフィス環境の整備

快適なオフィス空間を整備することは、従業員の満足度向上につながる大切なポイントです。オフィスレイアウトや設備を見直し、集中しやすい環境を作るだけでなく、リフレッシュできるスペースも設けるなど、働きやすい環境を整えましょう。

また、ICT環境の整備も重要です。スムーズなコミュニケーションや情報共有を促進するため、オンライン会議システムやチャットツールなどを導入し、オフィス勤務とリモートワークの従業員双方にとって快適な環境を構築しましょう。

 

オフィス回帰を成功に導くヒントを
「働き方改革EXPO」で見つけよう

オフィス回帰を成功に導くヒントを「働き方改革EXPO」で見つけよう

働き方改革の動きが加速するなか、企業のオフィス戦略は大きな転換期を迎えています。従業員のエンゲージメント(企業と従業員の関係性)と生産性を両立させるためには、従来のオフィス環境や制度を見直し、新しい働き方を取り入れることが重要です。

RX Japanが主催する展示会「総務・人事・経理Week」の「働き方改革 EXPO」は、企業が抱える様々な課題を解決するヒントが満載の展示会です。DX推進支援やペーパーレス化、会議ソリューション、社内コミュニケーションの活性化など、多様な製品・サービスが一堂に会する催しで、働き方改革を推進する上で役立つ情報を収集できます。

オフィス回帰を成功させ、従業員がいきいきと働ける環境を創造するためにぜひご活用ください。

また、「働き方改革 EXPO」は、働き方改革を推進する製品・サービスをPRする絶好のチャンスです。年5回全国各地で開催されているため、様々な地域への販路拡大が望めます。この展示会に出展いただければ、新たな顧客獲得やビジネスチャンス拡大につながります。

働き方改革EXPO

(生成AI・DXなど業務改革のための展示会)

【開催スケジュール】

■【東京】総務・人事・経理Week
2025年6月25日(水)~27日(金) 東京ビッグサイト

■【名古屋】総務・人事・経理Week
2025年7月23日(水)~25日(金) ポートメッセなごや

■【東京】総務・人事・経理Week
2025年9月10日(水)~12日(金) 幕張メッセ

■【関西】総務・人事・経理Week
2025年11月19日(水)~21日(金) インテックス大阪
 

オフィス回帰で企業と従業員がともに成長する未来へ

オフィス回帰は、単に以前の働き方に戻ることを意味するものではありません。企業と従業員がともに成長を遂げ、より良い未来を創造するための、新たな働き方への挑戦と捉えられます。

オフィス回帰を成功させるポイントは、企業理念やビジョンを共有し、従業員一人ひとりの意見に耳を傾け、働きがいのある環境を整備することです。

多様な働き方を許容する柔軟性と、円滑なコミュニケーションを促進する環境づくりを両立させ、従業員が最大限に能力を発揮できるような新しい働き方を目指しましょう。

RX Japanが主催する展示会「総務・人事・経理Week」の「働き方改革EXPO」では、オフィス回帰を成功に導くためのヒントが数多く得られます。ぜひ、この機会に足を運んでみてはいかがでしょうか。

「働き方改革 EXPO」詳細はこちら


■監修者情報

隈本 稔(くまもと みのる)
経営・キャリアコンサルタント

長崎大学大学院生産科学研究科を修了後、大日本印刷株式会社および東レ株式会社にて、製品開発・生産技術職に従事。2018年以降、長崎を拠点に経営・キャリアコンサルタントとして、企業の人材戦略、採用定着・チームビルディング、製造業の工程安定化、集客サポートなど、経営から人材活用に関するコンサルタントを行っている。

経営コンサルタント系サイト:B&S創研(https://bands-souken.jp/
キャリアコンサルタント系サイト:職りんく(https://syokulink.com/